決算変更届のポイント集

様式第3号 「直前3年」を100万円単位で作成する場合について

 

【質問】
様式第3号「直前3年」について、100万円単位で作成している。
100万円未満(だけど0円ではない)業種・項目と、本当に0円の業種・項目とを区別する必要はあるか。
どのように記載すれば良いか。

【役所の回答】

区別は不要。
記載方法は0を入れてもいいし、未記載でも良い。
(照会先:関東地方整備局 ナガミネ氏 2022年7月照会)

様式第4号 使用人数について

 

「建設業法第7条第2号イ、ロ若しくはハ又は同法第15条第2号イ若しくはハに該当する」:
専任技術者の要件を満たす者の人数を記載する。
※専任技術者として登録している人以外にも、要件を満たしている人がいればカウントする。

また、拠点が登録している業種によって要件に満たす人は異なるので要注意。

(例)
【対象業種】
本社:全業種
関西住宅事業本部:建築一式及び内装工事のみ

「その他の技術関係使用人」:
専任技術者の要件には満たさないが、技術関係の業務に従事している者の数を書く。
「事務関係使用人」:
建設業に従事する事務関係の使用人数を記載する。
※「その他の技術関係使用人」にも該当する場合は主とするものにカウントする。

 

申請先と提出部数(建設)

<新規又は更新申請の場合>

・東京都知事→東京都庁/提出部数は細かいルールがあるため手引きを参照

・大臣免許→管轄の地方整備局/正1控1(控えは1面のみ郵送)
※関東地方整備局の場合、ウェブサイトにラベルが公開されているので、これを使用する。
(ラベル:https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000768954.pdf)

<変更届の場合>

・東京都知事→東京都庁/提出部数は細かいルールがあるため手引きを参照

・大臣免許→管轄の地方整備局/正1控1(控えは1面のみ郵送)
※第一面が複数枚にわたる場合、全ページ印刷して控えとして送る(全ページに受領印が押されるため)
※関東地方整備局の場合、ウェブサイトにラベルが公開されているので、これを使用する。
(ラベル:https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000768954.pdf)

<決算変更届の場合>

・東京都知事→東京都庁/正1副1(副本は受領印を押され返却)
※電子入力用の控えは不要
※副本の納税証明書はコピーでOK

・大臣免許→管轄の地方整備局/正1控1(控えは1面のみ郵送)
※関東地方整備局の場合、ウェブサイトにラベルが公開されているので、これを使用する。
(ラベル:https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000768954.pdf)

※複数社まとめての申請可能。

<経営事項審査の場合>※書類の綴り方に細かい規定あり!手引きを確認すること。

・東京都知事→東京都庁/正1副1(副本は受領印を押され返却) ※事前予約制

・大臣免許→管轄の地方整備局/正1控1(控えは1面のみ郵送)
※関東地方整備局の場合、ウェブサイトにラベルが公開されているので、これを使用する。
(ラベル:https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000768951.pdf

「顧問」の届出要否について

・常勤、非常勤関係なく、経営に少しでも関わる(アドバイザーなど)のであれば、届出の必要がある
・名ばかり顧問で、経営に全く関与しないのであれば、届出不要
・建設業上、経営に関わっているか否かの判断基準は特に設けていない(=会社ごとの判断に委ねられる)
(関東地方整備局 建政部 建設産業第一課 ストウ氏)

なので、「顧問は、経営に一切関与していない名ばかり役職」ということであれば、引き続き、顧問は届出はせず、進めていければいい。

「健康保険等の加入状況」の作成に伴う留意点(確認書類の見方も載せてるよ!)★経審時にも要確認

健康保険等の加入状況にカウントする対象者の範囲について

 

対象者の範囲は、「健康保険等に加入しているかどうか」を基準として判断する。
(照会先:関東地方整備局 カトウ氏 2022月7日 照会済)

(例)
非常勤役員→加入していればカウントする、加入してなければカウントしない
(その他非常勤社員→同上)
出向社員 →同上
常勤社員 →同上

各保険書類の見方について

 

<健康保険>※健康保険証の保険者名が「全国健康保険協会」と記載があったら不要

・○○保険組合→「健康保険等の加入状況」に記載する組合名の根拠

・納付期日→申請日の直近であることを確認。

・領収日付印→印が押されていることを確認。

※経営事項審査では、審査基準日を含む月に係る保険料納入に関する領収証書を提出する。
(例:審査基準日が3/31の場合は、3月分の保険料納入に係る領収証書)

<厚生年金>

 

①「健康保険等の加入状況」に記載する厚生年金保険番号

②申請日の直近であることを確認する。

③「全国健康保険協会」に加入している事業者の場合は、ここで健康保険料がちゃんと支払われているか確認をする。

※経営事項審査では、審査基準日を含む月に係る保険料納入に関する領収証書を提出する。
(例:審査基準日が3/31の場合は、3月分の保険料納入に係る領収証書)

<雇用保険>

①「健康保険等の加入状況」に記載する雇用保険番号

②受領印が押されていることを確認する

③審査年度のものか確認する

④「雇用保険分」に金額が記載されているものか確認する

①雇用保険の納期は第1期、第2期、第3期と年3回の分納が認められています。
それぞれの期日は、
・1回目→7月10日

・2回目→10月31日

・3回目→1月31日

それぞれ、申請日の直近の期を確認し、その金額(②)を確認してください。

★経審の場合・・・
審査基準日を含む年度の概算保険料を納付したことを証するものが必要。
従って、一括で支払いしている方は申告書及び第1期の領収書、3回に分けて支払いしている方は、最低1期分(以下の時点の領収書)を提出すること。
審査基準日〔決算日〕:4月1日~ 7月31日までの方は、第1期分
審査基準日〔決算日〕:8月1日~11月30日までの方は、第2期分
審査基準日〔決算日〕:12月1日~3月31日までの方は、第3期分→3末決算の会社は3期分を準備する

③申請会社の情報が記載されているか確認する

①申告書に記載している労働保険番号と一致しているか確認する

②申請日の直近の期であることを確認する

③申告書で確認した金額と一致しているか確認する

④申請会社の情報を記載されているか確認する

⑤出納印が押されているか確認する

(2022年8月25日 作成)

【21】許認可ノウハウ

・宅建業【申請】

・宅建業【実務】

・建設業【申請】

・建設業【実務】

・賃貸住宅管理業【申請】

・賃貸住宅管理業【実務】

・一級建築士事務所【申請】

・一級建築士事務所【実務】

・不動産鑑定業【申請】

・不動産鑑定業【実務】

・建設コンサルタント業【申請】

・建設コンサルタント業【実務】

・警備業【申請】

・警備業【実務】

・不動産特定共同事業【申請】

・不動産特定共同事業【実務】

4.「業務に従事する者」と「従業者」について

専任取引士の設置母数である「業務に従事する者」

まず、宅地建物取引業法第31条の3において、専任取引士の設置義務を定めています。更に、宅地建物取引業法施行規則第15条の5の3(法第31条の3第1項の国土交通省令で定める数)において、その設置人数について、以下の通り定めています。
「当該事務所において宅地建物取引業者の業務に従事する者の数に対する宅地建物取引士の数の割合が5分の1以上となる数とする。」(一部略)

つまり、専任の宅地建物取引士の設置基準(母数)となるのは、「宅地建物取引業者の業務に従事する者の数」です。
「宅地建物取引業者の業務に従事する者」5名に1名以上の割合で、専任取引士を設置する必要があります。

従業者証明書の発行対象・従業者名簿の記載対象である「従業者」

一方で、「従業者証明書」「従業者名簿」については、宅地建物取引業法第48条(証明書の携帯等)において、

>従業者証明書については、
「~従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、~」と、

>従業者名簿については、
「~その事務所ごとに、従業者名簿を備え、従業者の氏名、~」と記載されており、

ここでは、「従業者」という考え方が基準となっています。

「業務に従事する者」と「従業者」は、別の考え方

注意する必要があるのが、専任取引士の設置基準となる「業務に従事する者」と、従業者証明書や従業者名簿に記載する「従業者」とは、別の考え方で、厳密には、対象者の範囲が異なるという点です。

「業務に従事する者」は宅建業の解釈にて下記のとおり範囲が決められています。

なお、大手不動産会社のほとんどは宅建業以外の業務の取り扱いをしているため、宅建業のみ従事している者は少ないです。
この場合の考え方として、顧客の立場から客観的に見て宅建業に従事していると判断されるような従業者は、「業務に従事する者」に該当すると判断されます。

一方、「従業者」はより広範囲の人が対象となっています。

※ここでいう「一時的に業務に従事するもの」の「一時的」の定義は明確に決まっていません。(例えば、〇か月間までの業務までが「一時的」に該当する等)
そのため、個別具体的な話になると関東地方整備局へ相談する必要があります。

基本的に、「業務に従事する者」は、臨時職員等は除きますが、「従業者」は、臨時職員等も含む考え方なので、、「従業者」の方が対象範囲が広くなっています。

ただ、大手不動産会社では、取扱いを分ける管理負担を考慮し、大は小を兼ねる発想で、<専任の取引士の設置基準=より範囲の広い「従業者」と設定>し、管理しているケースがあります。

なので、この点の見直しをすることで(厳密に「業務に従事する者」の数を算出する)、専任取引士の設置基準となる母数を減らすことができる可能性があります。

ちなみに、千葉県では「業務に従事する者」「従業者」の対象範囲を整理した表があります(公開資料)。

<千葉県:「業務に従事する者と従業者の該当範囲の違い」>

https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfudou/tetsuzuki/takuchi-menkyo/documents/2015_13x.pdf

※千葉県の資料ではありますが、関東地方整備局クサノ氏にも、本内容と同見解である旨確認済。(2019年9月照会)

3.従業者証明書について

宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させ、従業者名簿を作成する必要があります。
従業者証明書を携帯させなければ、その者を宅建業に従事させてはいけないことになっています。

従業者証明書を携帯させるべき者の範囲は宅建業の解釈にて下記のとおり定められています。

※非常勤の役員や一時的に宅建業に関わる事務を補佐する者も加わるので要注意。

ただし、過去に役所と整理した上で非常勤役員に従業者証明書を発行していないケースも考えられるため、
各社の運用を確認してください。

(従業者証明書のフォーマット)※国土交通省:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001487653.pdf

 

3.更新申請中の対応について★更新申請完了後に先方へ案内★

宅建業の更新申請は、その申請書類の多さから、有効期間満了後も引き続き審査が続けられる可能性があります。

しかし、宅建業は法定書類が多く、そのほとんどに許可番号や有効期間が記載されています。
これでは顧客に誤解を与えかねないため、管理担当は更新申請が完了次第、下記案内をお願いします。

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③宅建免許更新時の対応について

以下に更新申請中の有効期限経過後の対応について記載します。

事前にご確認の上、ご準備をお願いします。

1)「更新申請中の有効期限到来」に関する考え方について

→宅地建物取引業法の中に、免許の更新の申請があった場合において、従前の免許有効期間の満了の日までに更新許可がおりない場合は、
<従前の免許は、当該有効期間満了後も、その処分がなされるまでの間効力を有する>という定めがあります。(宅地建物取引業法第3条第4項)

有効期限到来後の免許の有効性について議論が生じた場合の参考にして下さい。

2)「御社の宅建免許番号や免許有効期間が記載されたもの」について
例:宅地建物取引業者票、各種契約書、重要事項説明書、従業者証明書 等

→現在のままで有効期限が到来すると「有効期限が失効した状態」になってしまいます。
なので、「更新申請中」などの追記・補記を行うようことをお勧めします。
※他社事例では、有効期限の所に「更新申請中」というテプラシールを活用されているケースが多いです。
数的にご負担が大きいのは「従業者証明書」です。お早目に手配いただくことをお勧めします。

→免許更新が完了すると、免許番号・有効期間が以下の通り変更になります。
免許更新完了後は、すぐに免許番号や有効期間が記載された媒体について、更新の対応が必要です。

 現在の免許番号:国土交通大臣(○○)第〇〇〇〇号/平成○○年○○月○○日から令和○○年○○月○○日まで
更新後の免許番号:国土交通大臣(○○)第○○○○号/令和○○年○○月○○日から令和○○年○○月○○日まで

※更新審査の完了時期は、定期的に進捗確認をしても読めないことが多く、突然審査が完了します。
その為、更新完了後に新しい業者票を手配したりするのでは、時間がかかり過ぎてしまう可能性があります。
他社事例では、先に更新後の免許情報を記載した新業者票や新従業者証明書等を発行しておき、それらに一旦更新前の情報を記載したテプラシールを貼って(新情報を)隠しておき、更新が完了したら、各自テプラシールを剥がして、最新の情報にしていただく・・・といったケースもございます。

以上です。

よろしくお願い致します。

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また、下記のような質問が想定されるためこちらも一読してください。

【質問①】
新たな更新免許が下りた後、仲介サイト等の免許番号を修正するのが時間がかかってしまい、タイムラグが生じてしまう。
それは宅建業法上問題ないか。また、問題がある場合、どのような対応が必要か。

【SGの回答】
更新免許が下りた際、すべての表示を更新するのに時間がかかる場合、
関東地方整備局では「一切のタイムラグなく変更するようにとまでは強制できず、できるだけ早く対応して下さい」と案内をしています。
(照会先:関東地方整備局 クサノ氏 2020年1月照会)

ちなみに、同業他社では、関東地方整備局との間で免許日の事前調整を行った上で、その日付で一斉にHP等の免許番号表示が変わるように、予めHPの設定をされているケースがあります。
※関東地方整備局に事前にお願いをすることで、役所内の審査目途がたった段階で、免許付与前に当社に一報をいただき、実際に新たな免許を交付してもらう日(免許日)を事前調整することができます。

【質問②】
更新前の免許番号で契約をしている場合、改めて新しい免許番号で再契約を結ぶ必要はあるか。

【SGの回答】
会社間の契約によるものなので、役所から強制するものではない(会社ごとにご判断を)とのこと。
(照会先:関東地方整備局 クサノ氏 2020年1月照会)

ちなみに、同業他社では、免許番号が更新になっただけで契約書を締結しなおすような負担が生じないように、契約書に免許証番号を記載する時は、「契約締結時点の免許証番号」という表記をしていたり、
契約内容変更時のルールを定める条文において、「本契約内容(第○条に掲げる免許証番号を除く)に変更が生じた場合は~」と、変更発生時にお知らせをする事項の中から対象外にされていたりします。

(投稿日:2022年8月24日)

★その他Q&A集

従たる事務所として登録していない事務所を物件の販売チラシに掲載していいのか?(2017/3/13)

【先方からの質問】
1点ご教示お願いしたくご連絡です。
 
弊社では、基本的に各部門毎に宅地建物業の事務所届出を行っておりますが、
宅地建物業の事務所として届出を行っていない部門(「戸建て住宅事業室」と言います。)も
存在しています。その部門においては、別の届出事務所部門名(コンサルティング事業部)で、
宅建業に絡む契約等々しているのですが、届出を行っていない部門(戸建て住宅事業室)名にて
販売チラシ等々を作成している事実があります。この点につき、業法違反とならないかを
確認したくご連絡です。
 
具体的には、以下PDFを添付させていただきます。
 1.パンフレット(添付P2)
 2.折込チラシ(添付P3~4)
 3.「スーモ」での告知(添付P5~7、※インターネット)
 4.「三井不動産リアルティ(三井のリハウス)」での告知(添付8~9)
いずれも届出を行っていない部門(戸建て住宅事業室)名となっておりますが、問題が生じないかを
確認させていただければと思います。
 
なお、添付P1に「一般媒介契約書」も添付しています。同様に「戸建て住宅事業室」名で
契約書に記名・捺印しておりますが、媒介契約書は単なる契約者(≒宅建業に絡むことではない)との
認識から問題ないと判断しておりますが、あわせて念のため確認させていただければと思います。
 
大変お手数かけますが以上何卒よろしくお願いいたします。
 
【SGからの回答】
お世話になっております。
サポート行政書士法人の増野です。
以下、ご質問をいただいた件について、ご連絡です。
今回ご質問をいただいた内容は、以下の2点で検討する必要があるかと思います。
 
①そもそも行っている行為が「宅地建物取引行為」「宅地建物取引業」に該当するか否か
②上場グループ会社・宅建業者の責任において、一般消費者からみた観点で適切と言えるか否か
 
①で、宅地建物取引業等に該当するのであれば、これらの行為については、 「宅建業務を行う部門として届出を行っている拠点の、従業者証明書を保持している担当者が行う必要がある」ということになるかと思います。
また、もし許認可や宅建業法に関わらない整理になったとしても、 ②で、社会一般から見て不適切だったり疑義が生じる可能性があるのであれば、御社として実行すべきではない(やり方を見直すべき)…という会社判断に至る可能性があるかと思います。
 
①について: 宅建業に該当するか否かは、基本的に、「対象物件×取引行為」で整理されます。
今回のように、「自己物件×売買」については、基本的に、宅地建物取引業に該当し、宅建業に関する「営業行為」(勧誘・説明)についても、宅建業として行う行為となりますので、 物件情報をWEB上やチラシに掲載するといった販売促進活動も、「宅建業の営業行為」に該当すると考えられます。
他の宅建業者が仲介に関わるからといって、宅建免許が不要になる(非該当になる)訳ではなく、宅建業法の規制がなくなる訳でもありません。
※例外的に、「反復継続性がない」等、「業」としての該当性がない場合は、宅建業に該当しないことも。
※詳しくは、東京都手引き( http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/sinsei/takken_menkyo.pdf  )をご参照下さい。
※一般的な論点として、念の為、関東地方整備局建政部建設産業第二課不動産第一係 村田氏(男性)に確認済み。
 
<以下、東京都宅建手引きより抜粋>
cid:image002.jpg@01D29C2E.A1607E90
 
上記をふまえ、今一度検討する必要があるかと思います。
ちなみに、同部署(戸建て住宅事業室)について、あえて宅建事業所としてカウントしない(したくない)ご事情などありますか?
 
一般的に考えると、上記のような関わり方をされている拠点は、宅建事業所にカウントするケースがほとんどですので、何かご事情があるのかと気になりまして。
 
なお、上記については、あくまでも一般的なお話になりますので、今回の個別具体的な法的な解釈がからむお話は、別途顧問弁護士等にご確認いただく方が良いかと思います。
 
②について: こちらについては、御社の背景(上場グループである社会的影響力/社会的責任が大きい立場にある)をふまえて、会社としてご判断いただく必要があります、というお話です。
いただいたチラシ資料を見ると、例えば、以下のような表示は、「宅建免許番号」とともに、「戸建て住宅事業室」の記載が並んでいて、 一般消費者から見ると、当該事業部にて宅建業者として適切に対応してくれることが期待される気がします。 このような表示の場合、基本的には、併記されている部署で宅建免許を取得しているケースが一般的かと。
cid:image006.png@01D29C2E.A1607E90
 
以上です。
なお、宅地建物取引業については、法令の他、以下の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」をご参考いただければと思います。
また、前提として、当方は行政書士法人になりますので、法的な見解や解釈についてはアドバイス出来ませんので、その点ご理解下さい。
個別具体的な法的な解釈が必要な場合は、別途、顧問弁護士の方等にご相談いただければと思います。 よろしくお願い致します。

 

政令使用人が同じフロアを共有している他社の政令使用人にも就任することができるか(2018/4/3)

【SGからの回答】
①政令の使用人の兼業
政令の使用人の要件として、常勤性が求められています。
この常勤性の定義ですが、例えば会社Aと会社Bのオフィスが同じビル内にある場合、両オフィスにおいて常勤性が認められます。
ゆえに、両会社の政令の使用人となる(兼任する)ことができます。
 
ただ、役所としては望ましい状態ではなく、
あくまで同ビル内までなら常勤性を認めるということです。
(照会先:関東地方整備局 マツザキ氏 2018年4月照会) ②証明書の必要の可否について
専取で拠点間異動が生ずる人に関して(既に専取として届出済み)
新たに身分証明書と登記されていないことの証明書は必要ありませんが、
これは、元々専取であった人が政令の使用人になるパターンなど、
代表者、役員、政令の使用人、専取のいずれかとして既に登録されており、
そのいずれかに新たに就任する場合でも同様となります(証明書は必要ない)。

業者票の専任の取引士一覧の修正について(2020/6/30)

【先方からの質問】
宅建業に関する「専取一覧(宅建業者票)」の掲示に関して、運用ルールと罰則有無などを確認してほしい。
【SGからの回答】
宅建業法では、「宅建業者票(標識)」に関して、
「公衆の見やすい場所に、宅建業者である旨の標識(業者票、報酬額表)を掲示しなければならない」とあります。
掲示内容に変更があった場合、変更日から速やかに(概ね2週間以内に)その変更を反映しなければなりません。
役所が指摘するタイミングとしては、事務所の変更届や更新時に添付する写真で変更が反映されていない場合です。
念のため、変更時の対応が遅れた場合(または対応がなかった場合)の措置について、一般的なケースとして関東地方整備局に照会も行いましたが、
補正指示を出して対応をしてもらい、特段罰則等は設けていないとのことです。
※ただし、長期にわたってあまりにも悪質な放置があった場合は、業法に基づいた罰則が科せられることもあるそうです。
 
以上です。
 
いずれにしても、 専取一覧(宅建業者票) は公表性の高いものとなりますので、間に合わない場合もテプラや紙で掲示を差替えるなどの対応は必要かと思います。
また、他社の事例で、査察が入ったという話もありますので、変更が発生するたびに業者票もすぐに変更することをお勧めします
 

『宅建業の従業者(専任の取引士を除く)が複数の従たる事務所に所属してはいけない』という制約はあるか?(2022/4/6)

【先方からの質問】
1、売買契約締結にあたり、物件を売買する事務と、契約にあたり重要事項説明等を行う業者が属する事務が異なる場合がありますが、こちらは同じ会社内であれば特に問題はないとの認識でよろしいでしょうか。
(たとえば、九州支店にて管理している社有地を中部事業本部の営業担当のお客様に売却する場合、不動産売買契約書は九州支店長名(印鑑)での取り交わしになりますが、 重要事項説明は中部事業本部の取引士が行うといったケースです。
 
2、事業本部名で事務を届出している拠点において、不動産売買契約時に、届出事務名ではなく、本部内の支店名・支店長印で締結することは問題ないでしょうか。
(たとえば、千葉支店の社有地を売却する場合、たる事務として登録している千葉事業本部名義で本部長印で行うのではなく、
 千葉事業本部内にある(統一在地)千葉支店・千葉支店長印にて契約締結を行うケースです。)
 
【SGからの回答】
法令上明記されている制約はありません。
 
ただ、関東地方整備局としては、専任の取引士を除く宅建業の従業者が 複数の従たる事務所に所属するケースは想定内です。 (照会先:関東地方整備局 コヤナツ氏)
理由として、「宅建業の従業者」の定義を考慮する際に、専任の取引士のような専任性や常勤性は関係ないためです。
 
上記を踏まえて、複数の従たる事務所に所属する場合の実務上の注意事項をまとめましたのでご確認ください。 (照会先:関東地方整備局 クサズミ氏)
 
・従業者名簿について →それぞれの事務所の従業者名簿に、氏名等を記載するかたちとなります。
 
・携帯する証明書の数について →法律上の明記はないため、一つでも、所属する事務所の数に応じて、証明書番号を変えて複数発行しても構いません。一つの証明書を携帯する場合は、それぞれの事務所の従業者名簿に同じ証明書番号を記載します。
 
・専任の取引士の設置ルールにおける、事務所ごとの母数人数について →専任の取引士は事務所ごとに業務に従事する者の5/1の割合で設置が必要なため、複数の事務所に所属している場合は、それぞれの事務所の母数人数にカウントします。
 
・営業担当の名刺について →名刺について、所属する事務所ごとに使い分ける等は関東地方整備局としては特段求めていません。
 
<<<「宅建業の従業者」 の定義について>>>
 
ちなみに、①でご説明した「宅建業の従業者」 の定義については、法令上明確な定義はありませんが、宅地建物取引業法第48条に記載があります。
本条文によると、「宅建業の従業者」=「従業者証明書を携帯している者」=「従業者名簿に記載されている者」となります。
「従業者証明書を携帯している者」の範囲については、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」42Pに記載があり、
こちらをあわせて読み解くと 「宅建業の従業者」= 「法第31条の3第1項で定める従事者の範囲(業務に従事する者)」+「代表者、非常勤の役員、単に一時的に事務の補助をする者」 ということになります。
ここで専任性や常勤性というキーワードは特段登場しないことになります。 なお、「法第31条の3第1項で定める従事者の範囲(業務に従事する者)」については、 以下に記載がありますので、ご参考ください。
 
・宅地建物取引業法 第31条の3
・宅地建物取引業法施行規則 第15条の5の3
・宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 10P
 
<参考資料>
宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001413564.pdf